劇団からのメッセージ
生きる・・・ -上演にあたって-
「はるのひ はるのひ うらうらと 照れば萌えますたんぽぽの・・・」
たんぽぽの綿毛が、小さな手の大きな拍手に支えられ、東へ西へ、南へ北へと舞いはじめて64年がたちました。
わたしたちは、子どもたちにとってより身近な演劇をめざし、1998年に「100万回生きたねこ」を上演しました。
劇をご覧になる前に「大好きな作品だけど、テーマがむずかしいのでは?」と心配される先生もいらっしゃいましたが、劇を見た子どもたちからは、「この劇を世界中の人に見てもらいたいと思います。今つらい思いをして自分の命をこの世から消そうとしている人にも自分の命の大切さがわかってもらえると思います。」「一度しかない人生をせいいっぱい生きようといわれた気がする。」などの感想文が寄せられました。
この『100万回生きたねこ』は佐野洋子さんの作品の中でも多く読まれている作品です。
子どもをとりまく暴力的な事件が次々と起こる昨今、「生きる」ということを、この作品を通じて皆さんと考えていきたいと思います。「生きる・・・」大変重いテーマですが、そんなテーマだからこそ愉快に軽快に、そして慎重に子どもたちと話すことができたらという思いで取り組みました。
ところで、100万回生きたねこってどんなねこ?
それはその日までのお・た・の・し・み……。
お話
100万回生まれて、100万回生きた、とても不思議なねこのお話
ある時、ある場所に、百万回生きたねこがいました。ねこは死んでは生き返るたびに、さまざまな人間に飼われますが、ねこはみんなが大きらい。人間たちはねこが死んだときに泣きましたが、ねこは一度も泣きませんでした。
そんなある日、そのねこは、はじめてのらねこに生まれかわりました。他ののらねこたちはこのねこが大好きになりましたが、その中にたった一ぴき、このねこに見むきもしない白いねこがいました・・・・。
原作:佐野洋子(講談社刊) 脚本:久野由美 演出:ふじたあさや
音楽:遠山裕 美術・衣装:坂本真彩・山上井志麻 振付:佐久間尚美
音響:山北史郎 制作:上保節子・久野由美
舞台写真
感想
子ども達から届いた感想
- げきだんたんぽぽのみなさんへ
今日はどうもありがとうございました。わたしは、『100万回生きたねこ』の話は知らなかったので、とても楽しみにしていました。ドキドキしながらげきを見ていて、ねこの動きが本当に生きているように見えてすごかったです。
一番感動した所は最後に本当にねこが死んでしまった所です。わたしは、白いねこと出会って、ねこはすごくいいねこになったな、と思いました。
このお話はとてもいいお話なので、他の人たちにも見てほしいと思います。
静岡県静岡市 F小学校 3年 Y・Mさん
- 今日、げきを見せてくれてありがとうございました。また来年もやってください。
とくに最後のシロとトラがしんでしまったところが感動しました。
トラは自分が1番好きだったのに、家族ができてからは、家族が好きになったのがすごく感動しました。
なぜトラが生きかえらなかったのは、私が思うのは白いねこがしんだから生きかえらなかったと思います。
愛知県岡崎市 Y小学校 3年 S・Rさん
- わたしは、『100万回生きたねこ』をはじめて見ました。とてもわかりやすい劇で、お話がよくわかりました。
かこの話もすごかったけど、さいごのほうがものすごく感動しました。生きるということの大切がわかったような気がしました。
劇だけあって、ものすごいはくりょくでした。声の大きさも聞きやすかったです。
この劇を見て、もし他の人が見た時に、このねこがなぜ100万回も生きたのかをわかってほしいです。
100万回生きたねこが、なかなか言えなかった言葉を言って、すばらしい幸せを手に入れることができたのが、1番の幸せだとわたしは思いました。
静岡県菊川市 O小学校 3年 I・Mさん
- とらねこがしろねこに大きな声でことばを言えてよかったなと思いました。
とらねこはしんで、またさいしょからそだっていって、ふしぎでした。
とらねこはしろねことけっこんできてよかったです。さいごにしろねこととらねこといっしょにしんじゃったけど、もうずっといっしょだからよかったです。
静岡県磐田市 T小学校 1年 S・Yさん
先生方から届いた感想
- 期待したとおりの内容でした。読み聞かせで絵本を扱いましたが、その奥の深さに心が動きました。そしてたんぽぽさんで公演していることを知り、迷わず決定させていただきました。小さい子には難しいかなとも思ったのですが、そんなことはまったく関係なく、劇の中に入り込んでいったようです。
本校では、本年度より「命を大切にする心を育む学校づくり」というテーマをもとに研究を進めてきています。年度当初子どもたちにアンケートをとったとき、死んだペットが生き返るかという質問に対して20%くらいの子どもが、生き返ると答えました。ゲームなどを通して、リセットすると簡単に生き返ることを体験していることなどが原因と考えます。そんな子どもたちに今回の劇は、ぴったりだなと考えました。最後にねこは、生き返ることはなかった。それはどうしてなのか、そこを子どもたちに考えさせることによって、命や死というものに対しての考え方が構築されていくのではと思いました。
愛知県岡崎市 Y小学校
- 難しい題材なのかなと思いましたが、様々な工夫で低学年でも十分楽しめる内容になっていました。
- 低学年の子たちは「おもしろかった。」と言っていました。お礼の手紙もスラスラと書ける子が多く心に残ったことがたくさんあったようです。
- 4年生は皆とても喜んでいました。演技だけでなく歌声や表情にも感動していたようです。
静岡県静岡市 N小学校
- とても良かったです。劇のことはよくわかりませんが、じっくり味わいながら観せていただきました。
- 場面が変化に富んでいて、小さい子も飽きない舞台だったと思います。テーマは深くて大人にも楽しめました。
- テンポがよく、ねこのさまざまな生き方を劇化してくれていた。
- 人形も大きくて絵本そっくりのねこの顔だったので良かった。
- 絵本の世界をイメージさせるような舞台でさすがに工夫されているなあと思いました。
- 子ども達は目を輝かせて集中して観ていました。
- 歌や踊りが入っていたことが、とても楽しかったようでした。
静岡県菊川市 O小学校
- 心あたたまる内容でした。
- 海の場面では縄による船の動きや波の音を子どもの目の前でしていた所は良かったです。
- 手品のシーンは低学年の子どもは大喜びでした。
- いろいろな場面があり楽しめました。
- 「自分より大切な人」という言葉は、子どもの心にひびいていました。
- 絵本の題材なので、2度楽しめて良かったです。
山梨県中巨摩郡 N小学校